瓦礫の中から探した形見のリングをジュエリーリフォーム

瓦礫の中から探した形見のリングを
(写真上)左がお預かりした印台(17.69g)、右2点の緑色がワックス
(写真下)出来上がったリング(10.37g)とペンダント(4.23g)

2012年2月のある日、K18印台リングの地金を使用してジュエリーリフォームしたいと電話を受けました。その日に、ご高齢のお母様とお嬢様がご来店くださいました。
通常、デザインブックから希望のデザインを選んで頂き、お預かりした地金を使ってロストワックス製法で加工を致します。

今回もそのつもりでお預かりしたのですが、お帰りになってから気になったものですから、お嬢様にお電話しましたらお父様の形見だと仰るのです。

どんなに努力してもロストワックス製法で加工すると、お預かりした金地金の10%位しか出来上がったリングに含まれないことをお話しました。
そして、同じようなデザインで印台を削って手作り制作し、削って出た金の粉を溶かしてペンダントを作ることを提案しました。

ご希望のリングとペンダント(写真)
ワックスを取り寄せ⇒ワックスと同じように印台を削る⇒削った粉を溶かす⇒リング中央のパーツを制作⇒パーツをロー付け⇒リング出来上がり。
金の粉を溶かす⇒棒状ペンダントとバチカン制作⇒丸環で繋いで完成。
出来上がりをご覧になったお嬢様は、大変喜んでくださいました。

そして、この印台にまつわるお話をしてくださいました。
7年前にお父様がなくなり、形見の印台をお母様のファッションリングにしたいと、色々なお店でその印台の金を使って出来ないかお聞きしたそうです。
ところが、どのお店で言われることは、印台を地金価格で下取りして、その代金に足して他のリングを買って下さいということでした。
どうしても、印台の金を使って作り直したいとお店を探していたそうです。

ところが2011年3月11日の大津波で自宅が流され、瓦礫の中を必死で探してやっと見つけた、たった一つの思い出のお品だったそうです。

その後の一年間は、息子さん家族と別々の借り上げ住宅に住み、気力も失せてしまってご家族の皆さんご心配されてたようです。
ところが、インタージェムで作ってもらえると分かってからは、遊びに来たお孫さんにお昼ご飯を作ってあげたりと、元気になってきたそうです。
また一つ、ジュエリーの持つ素晴らしい力にふれることが出来ました。


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